免疫力を高める|睡眠
今週から、寒波が徐々に南下してきて、明日あたりから関東地方でも最高気温が10度前後という寒さになる予報なので、皆さん体調管理にには十分ご注意を!
さて今日は、前回の免疫力を高めるために重要な3つの要素のうち『適度な運動』について書きましたが、今回は『質の良い睡眠』について書いていきたいと思います。
ウイルスの感染を予防して健康を保つには、『自然免疫』の力を高めることが必要です。
前回、自然免疫については説明しましたが、自然免疫とは、元々人間の身体に備わっている免疫のことで、自然免疫に対し後天的に生じる免疫を『獲得免疫』といいます。
睡眠不足や不規則な生活で睡眠のリズムが乱れていると、自然免疫も衰えてしまいます。
睡眠が自然免疫にどのような影響を及ぼすかの研究では、平均的な睡眠時間が7時間未満の場合、睡眠時間が8時間以上の人と比べて、約3倍も風邪の発症率が上がるというデータがあります。
細菌やウィルスに対する免疫力は睡眠中に保たれ、強化されるため、睡眠不足が続くと免疫力が落ちてしまいます。
眠りの質が良い人ほど風邪の発症率が低いというデータもあり、睡眠時間だけでなく眠りの質も免疫力に影響します。
十分な時間眠っていても、眠りが浅くて夜中に何回も起きるなど睡眠の質が悪いと免疫力の低下を招いてしまうのです。
成長ホルモンは1日の分泌量のうち、約70%が睡眠中に分泌されます。特に、寝入りばなの90分から180分の深いノンレム睡眠中に分泌されるという特徴があります。
成長ホルモンは、細胞を修復したり体全体の疲労を回復させる働きがあり、免疫力と密接な関係があります。
睡眠不足や質の悪い睡眠ではこの成長ホルモンが十分に分泌されず、免疫細胞の減少などにつながることになり、自然免疫の働きが低下してしまいます。
免疫機能を担うのは白血球ですが、そのうち、細菌と戦うのが『顆粒球』、ウイルスと戦うのが『リンパ球』です。
免疫記憶で活躍するのは主に『T細胞』という免疫細胞で、T細胞が1度侵入した病原体を認識し、排除することで再度の侵入を防いでいます。睡眠を十分に取ると、T細胞の記憶の持続期間が長くなると言われています。
では、質の良い睡眠を取るためにはどの様なことに気をつければいいのでしょうか?
適切な睡眠時間は個人差がありますが、8時間以上の睡眠が免疫力を高める上では良いとされています。
先ほども書きましたが、平均睡眠時間が7時間未満の場合、睡眠時間が8時間以上の人と比較すると、約3倍風邪を発症しやすくなるデータもあります。
人には体内時計があり、24時間よりも若干長いと言われています。1日の24時間と微妙なズレがあり、このズレを修正してリズムを整えることが質の良い睡眠につながります。
体内時計のリセットには、太陽の光を浴びることが有効です。朝起きたらカーテンを開いて太陽の光を浴びることで、生活のリズムが整います。夜更かしせず、早寝早起きをすることが大切になります。
朝の太陽の光を浴びると『セロトニン』というホルモンが分泌され、これが夜になると『メラトニン』という睡眠を促すホルモンに変わります。メラトニンの作用で、質の良い睡眠に入れるのです。
食事は睡眠の3時間前までに済ませることも、免疫力を高める上では重要なポイントです。
寝る直前に食事を摂ると寝ている間も消化活動が続き、眠りが浅くなってしまいます。食事を十分消化して、胃腸が休まった状態で眠るようにしましょう。
内臓から体温を高めることで、体温が下がり始めるときに自然な眠気が促されます。深い眠りに入りやすくなるでしょう。
スマホやパソコンから出るブルーライトは脳を覚醒させるため、眠りに入るのを妨げてしまいます。睡眠の質を下げてしまうので、寝る前は読書する、静かな音楽を聴くなどリラックスして過ごすようにしましょう。
リラックス状態では、副交感神経が活発に働くため、身体を休ませ免疫力を回復させる役割を果たしてくれます。なお、カフェインレスの温かい飲み物や、目元を温めたりするのも効果的です。
一時的に体温を上げてから、もう一度下げると眠気を誘発するため、体に睡眠のサインを知らせるためには、お風呂が効果的です。
お湯に浸かることで体温が上昇すると血液が全身に循環し、血液と免疫細胞の循環がよくなるため、免疫力アップにつながります。
また、血管が拡張していることで、その分熱を発散しやすく、体温の高低差が生まれることで眠気が生じ、眠りの質も高めてくれます。
ただし、お湯の温度が高すぎると交感神経が活発化し、血圧が上昇したり、心拍が速くなったりと、かえって逆効果になることもあるため、目安としてお風呂のお湯は38度〜40度と少しぬるめにすることが大切です。
現在、世界的に健康や経済に甚大な被害をもたらしている新型コロナウィルス。
世界中の専門家によって、有効なワクチンや薬の研究開発が行なわれ、ワクチン接種が始まっている国もありますが、日本で利用できるようになるまでにはかなり時間が必要です。
新型コロナウィルスに対抗するためにも、私たちが自分でできる効果的な対策の1つとして、よりよい睡眠で免疫力を活性化させたいですね。
ちなみに肌荒れや口内炎が生じたら、それは免疫力低下の合図です。
自律神経が乱れ、身体の末端まで栄養が行き渡っていない可能性があります。だからといって極度に恐れることなく、やはりまずは、免疫力を高める睡眠を心掛けてくださいね。
