免疫力を高める|運動
こんにちは、トレーナーの伊藤道生です。
今日はいい天気ですね。
こんな日は外に出かけたくなってしまいますが、今また新型コロナの感染者数が増え、場所によっては医療現場が逼迫している所もあります。
皆さん、日々最前線で戦ってくれている方々のためにも、節度をもった行動をしましょうね!
そこで今日は、以前にも何度か書いていますが、改めて『免疫力を高める』ことについて触れたいと思います。
今回はその中でも『運動』にフォーカスしたいと思います。
私たちの身体には、ウイルスをはじめとしたさまざまな有害物質から体を守ってくれる『免疫』(免疫力)という機能が備わっています。
この免疫力を高く保つためには、『バランスのとれた食事』『質の良い睡眠』『適度な運動』が大切です。 でも、適度な運動といっても、実際にはどれくらいの運動量が必要なのか分からないという人が多いと思います。
今回は、その点も含めてご紹介できればと思います。
先ずは、免疫力についてちょっと説明します。
自分や周りの大切な人のためにも、この際「免疫」機能について少し勉強しておきましょう。
先ほども書きましたが、免疫力とは細菌やウイルスなどの病原体や癌から、身体を守る防御能力のことです。
私たちの周りには目には見えない細菌やウイルスが多数存在し、これらが体内に入ってくることで風邪などの感染症にかかり、体調が悪くなると考えられています。病原体の感染から身体を守る仕組みが『免疫』です。
目・鼻・喉・腸といった粘膜組織、そして体の中でも免疫システムが24時間働き、これらの侵入を防いでいます。
免疫には『粘膜免疫』と『全身免疫』の2つがあります。
日々の生活で、体内にはウイルスや細菌、花粉などの異物が絶えず侵入しようとしますが、これらの異物を侵入させないように働いているのが『粘膜免疫』です。粘膜免疫が働く場所は、目・鼻・口・腸などの粘膜です。ここで異物が粘膜を介して体内に入るのを防ぎ、体外に出してしまうことで感染を防ぎます。
外敵の侵入を防ごうと働く粘膜免疫ですが、粘膜面で主体的に活躍している免疫物質があります。それが『IgA抗体』です。
抗体とは、侵入してきた病原体にくっついて、これを無力化するように働く免疫物質のこと。タンパク質でできており、『免疫グロブリン』とも呼ばれます。
IgA抗体は、特定のウイルスや細菌だけに反応するのではなく、さまざまな種類の病原体に反応する守備範囲の広さが特徴です。
IgA抗体が低下すると病気にかかりやすくなり、且つ疲労感も高まることが分かっています。
もし病原体が粘膜免疫を突破して体内に侵入し増殖してしまった場合、『感染』といいます。
感染した場合、『全身免疫』が働きます。全身免疫のシステムでは、免疫細胞が病原体を捕えて、排除するよう働きます。 全身免疫には、直ちに相手を捕えて攻撃する『自然免疫』と、相手の性質を正確に見極めて攻撃する『獲得免疫』の2つがあります。
病原体の侵入後、直ちに働くのが『自然免疫』です。 白血球の一種である『好中球』『マクロファージ』が病原体を飲みこみます。一方で、全身を常にパトロールしているリンパ球の一種『NK(ナチュラルキラー)細胞』は、外敵が侵入すると即座に攻撃し、病原体に感染した細胞をも直接破壊します。
この自然免疫に続いて、2つ目の『獲得免疫』が働きだします。 外敵が侵入したとことの知らせを『ヘルパーT細胞』が受け取ると、ヘルパーT細胞は周囲の免疫細胞に対して「増殖しろ」「分化しろ」と働きかけます。すると、『キラーT細胞』や『NK細胞』が活性化し病原体を攻撃します。
また、『好中球』は病原体の侵入場所に集まります。他にも、『B細胞』と呼ばれるリンパ球の一種は分化して病原体を無効化する『IgA』『IgG』などの抗体を産生します。
こうして戦ったリンパ球の一種『B細胞』の一部は『メモリーB細胞』となり、侵入した病原体を記憶し、長期にわたって生体内で生き続けます。そして、次に同じ病原体が侵入したときにその病原体を封じ込められるよう、事前に備えています。これが『獲得免疫』の大切な働きです。
感染症にかかったときに熱が出るのは、病原体の活動を抑制し、免疫細胞の働きを活発にするためです。 下痢をするのは、病原体の侵入によって炎症が起きたとき、悪いものをいち早く体外に出すためで、いずれの症状も免疫が機能することで起こる反応です。 こうした『獲得免疫』の仕組みを利用して、感染症を予防するのが『ワクチン』(予防接種)です。 実際の病原体が侵入するより前に、毒性を弱める処理をした生きた病原体(生ワクチン)や、感染力をなくす処理をした死んだ病原体(不活化ワクチン)を体内に入れ、あらかじめ抗体を作らせておきます。 感染症が流行し、実際の病原体が体内に入ったときには、その抗体が病原体を認識し、封じ込めるように働きます。これによって感染を予防したり、たとえ感染したとしても重症化を抑えたりすることができます。 少しは免疫についてご理解いただけたでしょうか? この様な人にとって大切な免疫力ですが、最初にも書いた様に、『バランスのとれた食事』『質の良い睡眠』『適度な運動』ができていないと低下してしまいます。 ここで本題に戻りますが、では『適度な運動』とは具体的にどの様な事をしたらいいのでしょう。 有酸素運動の場合、その強度は『自分自身がややきついと感じるぐらいのスピード』です。 ちなみに有酸素運動とは、ウォーキングやジョギング、水泳や自転車などのことです。 具体的な数字としては、最高心拍数の60〜80%です。 最高心拍数は、おおよそ『220ー自分の年齢』です。 例えば50歳の方であれば、最高心拍数は220ー50で170ですので、有酸素運動の際には102〜136ぐらいの心拍数です。 時間は30〜60分、回数は週に2〜5回といったところでしょか。 普段運動していなかったという方は、最初は30分週に2回のペースで始めて、慣れてきたら時間や頻度を増やしていくといいと思います。 無酸素運動の場合、最大挙上重量の60〜80%程度の強度です。 無酸素運動とは、主に筋力トレーニングです。 最大挙上重量とは、『自分で1回なんとか上げられる重量』のことで、例えば、ベンチプレスを60Kg、1回挙げられる人の最大挙上重量は60Kgです。 その60〜80%程度の強度とは、36〜48Kgとなり、その重さで8〜12回挙げることを、2〜3セット行います。 それを週に2〜3回ほど行うといいと思います。 ただ、ご自宅にそういった器具がある人は稀だと思いますので、自宅で行う際はご自身の体重を利用して行いましょう。 強度としては、おそらくもう少し落ちると思いますので、回数を20〜30回程度に増やし2〜3セットやってみましょう。 具体的な種目については、最後にPACのHPに動画がありますので、そちらのURLを記載しますので、そちらをご覧になって、できそうなものをやってみてください。 ちなみに、強度の高い筋力トレーニングをした直後から3時間ほどは、免疫力が下がってしまうことがあります。 その主な原因として、筋力トレーニングによってダメージを受けた筋肉の部位に白血球が集まるということや、『コルチゾール』というストレスホルモンが出るためといわれています。 ですから、もし習慣的にトレーニングを行っている人は、トレーニング直後は免疫力が下がるので、不特定多数の人がいる場所などへ行くことは避けたほうがよいでしょう。 でもこれは、あくまで「強度の高いトレーニング」をした場合ですので、一般的な軽い運動などの場合では免疫が大幅に下がることはありません。 そもそも、免疫力は30代をピークに低下します。 激しい運動をするアスリートや、プレッシャーや不安など過酷な精神的ストレスを抱える受験生も免疫が低下している可能性があるので要注意です。 「自分は健康」と思っていても、過信は禁物です。 私たちは日ごろから、内にも外にも免疫低下リスクを抱えています。意識して免疫力を高める生活を心がけたいですね。 【お家でトレーニング】
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